今日から3回に分けて、言論統制が厳しい中国とは真逆の環境にある台湾のメディア事情について、掘り下げていきます。
台湾では、二二八事件発生後から1987年に戒厳令が解除するまでの期間、言論の自由が非常に制約されていましたが、1988年に報道規制が解除され、更に1993年に地上波放送&ケーブルテレビの完全自由化が実施されると、報道業界は一気に花開きました。
台湾は九州とほぼ同じ大きさですが、メディアが溢れて過当競争となり、事実に基づかない報道・捏造・ヤラセ・誇張がひどく、「台灣媒體亂象(台湾メディアのカオス)」が問題となっています。実際、2019年5月16日に台湾の國家通訊傳播委員會が公表したメディア統計によると、無線テレビ局は5局、衛生ケーブルTV番組は111チャンネルとなっており、ここからもメディアの多さが分かりますし、ケーブルテレビの視聴料も安いので、かなりの家庭がネットとセットでケーブルテレビも具えています。
國家通訊傳播委員會の統計はこちら
台湾のメディア環境で特筆すべき点は、ケーブルテレビの発展により、主要テレビ局によるニュース専門番組・政治討論番組・バラエティー専門番組・ドラマ専門番組が24時間の放送体制にあることです。なかでも、ニュース番組の競争は非常に激しいです。普通に考えてみれば、九州ほどの大きさの中で、24時間も報道し続けられるような重要なニュースはそうそうありませんが、ないにもかかわらず、記者はネタを探して奔走せねばならないため、その結果、言ってしまえば大したことのないニュースが大きなニュースとなり、これは政治にもビジネスにも大きく利用されています。
次回に続く。